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移住準備

共働き世帯の移住計画仕事と子育ての両立

収入も保育も妥協しない。共働き家庭だからこそ考えるべき 移住のタイミング、仕事の選び方、保育園確保の戦略を解説します。

はじめに — 共働き世帯の移住は「段取り」がすべて

共働き世帯の移住は、単身や片働き世帯の移住と比べて考慮すべき要素が格段に多くなります。夫婦双方の仕事、子どもの保育園や学校、収入の変化、生活コストの変化 — これらを同時に調整しなければなりません。

一方で、共働き世帯だからこそのメリットもあります。収入源が2つあることでリスクを分散できますし、一方がフルリモートで先に移住し、もう一方が後から合流するといった柔軟な計画も立てられます。

この記事では、共働き世帯が移住を実現するための具体的なステップと、各段階で考慮すべきポイントを整理します。

この記事の方針:架空の数値や体験談は含みません。一般的に知られている制度や移住計画の知見をもとに、実践的なアドバイスを整理しています。

1 移住のタイミング — いつ動くのがベストか

共働き世帯の移住タイミングは、仕事と子どもの状況によって最適解が変わります。ここでは代表的なタイミングとそれぞれのメリット・デメリットを整理します。

育休中の移住

育児休業中は、仕事から一時的に離れているため、引っ越し作業や新生活の立ち上げに時間を使えるメリットがあります。保育園の4月入園に合わせて前年の秋頃に移住し、入園申請を行うパターンが考えられます。

ただし、育休中の移住は転園・転職が同時に発生するリスクがあります。育休復帰後の職場が移住先にない場合、育休中に転職活動も並行する必要が出てきます。また、育児休業給付金の受給に影響がないか、ハローワークに確認しておくことをおすすめします。

子どもの進学タイミング

小学校入学や中学校入学のタイミングは、子どもにとって「新しい環境が始まる」区切りです。転校ではなく最初から新しい学校に通えるため、子どもの心理的負担が比較的少ないとされています。

特に小学校入学前(年長の秋〜冬頃)に移住する場合、就学時健康診断や入学説明会のスケジュールに間に合うよう、早めに動く必要があります。自治体によっては前年の10月頃から就学時健診が始まります。

転職前と転職後、どちらが先か

「先に仕事を決めてから移住する」か「先に移住してから仕事を探す」かは、大きな判断ポイントです。

先に転職を決める

  • 収入の空白期間がない
  • 住宅ローンの審査に有利
  • 移住先の選択が仕事に縛られる

先に移住する

  • 住みたい場所を優先できる
  • 地元の求人情報にアクセスしやすい
  • 収入の空白期間が発生するリスク

共働きの場合、一方がフルリモートで収入を確保しつつ、もう一方が移住先で新しい仕事を探すというハイブリッドな方法を取れるのが強みです。

2 仕事の選択肢 — リモート、転職、起業

移住後の仕事は、移住計画の最も重要なピースの一つです。ここでは主な選択肢とそれぞれの現実的な注意点を解説します。

フルリモートワーク

現在の仕事をフルリモートで継続できる場合、これが最もリスクの低い選択肢です。収入が変わらず、キャリアの断絶もありません。注意すべき点として以下があります。

  • 会社の就業規則でリモートワークの居住地制限がないか確認する(通勤圏内に限定している企業もある)
  • 出社が必要な場面(四半期ミーティング、研修など)の頻度と交通費負担を確認する
  • リモートワーク制度の見直しリスク。将来的に出社回帰になった場合の対応策も考えておく

ハイブリッドワーク

週に数日出社が必要な場合、移住先から通勤可能な範囲に限られます。新幹線通勤を活用する方法もありますが、定期代は月額数万円〜十数万円になるため、会社が負担するか自己負担かで家計への影響が大きく変わります。

地方転職

移住先で新しい仕事を探す場合、ハローワークや地方特化の転職サイトに加え、自治体の就職支援制度を活用できます。地方自治体の中には、UIターン者向けの就職マッチングイベントや就職支援金制度を設けているところもあります。

ただし、地方の求人は都市部と比べて職種が限られる傾向があります。特に専門職や管理職の求人は少ないことが多いため、事前に移住候補地の求人市場を調べておくことが重要です。

起業・フリーランス

地方移住をきっかけに独立する選択肢もあります。地方自治体の中には、起業支援制度(補助金、コワーキングスペース提供、メンタリングなど)を用意しているところもあります。

ただし、起業と移住を同時に行うのはリスクが高いです。独立直後は保育園の就労証明が出しにくい点にも注意が必要です(自営業の点数が会社員より低い自治体もある)。可能であれば、移住前に副業やフリーランスとしての実績を作り、一定の収入の見通しが立ってから移住するのが安全です。

3 保育園の確保戦略

共働き世帯にとって保育園の確保は、移住計画の成否を左右する最重要課題です。仕事を続けるためには、移住と同時に、あるいは移住直後に子どもを預ける先が必要です。

入園申請のタイミングを逆算する

認可保育園の4月入園は、前年の10〜11月頃に1次申請の締め切りがある自治体が多いです。この時期に住民票がないと申請できない自治体もあれば、転入予定者として申請を受け付ける自治体もあります。まずは移住候補地の自治体に「転入前でも申請可能か」を確認しましょう。

「広域入所」制度の活用

まだ転居していない段階でも、「広域入所」(住民票のない自治体への保育園入所申請)が可能な自治体もあります。利用条件は自治体によって異なるため、転居先の子育て支援課に直接問い合わせてください。

点数(利用調整)を理解する

認可保育園の入園は、保護者の就労状況や家庭環境に基づく「点数」で優先順位が決まります。フルタイム共働きは基本的に高得点ですが、自治体ごとに加点・減点の基準が異なります。移住先の自治体が公開している「利用調整基準表」を入手し、自分の世帯がどの程度の点数になるか事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。

認可保育園以外の選択肢も視野に入れる

認可保育園に入れなかった場合のバックアップとして、以下の選択肢を調べておきましょう。

  • 認定こども園 — 保育園と幼稚園の機能を併せ持つ施設。1号認定と2号認定で枠が分かれています。
  • 小規模保育事業 — 0〜2歳児を対象とした定員6〜19名の保育施設。3歳以降の転園先(連携施設)の有無を確認しましょう。
  • 企業主導型保育 — 企業が設置する保育所で、地域枠として外部の子どもを受け入れている場合があります。
  • 一時保育・ファミリーサポート — 恒常的な利用は難しいですが、保育園が決まるまでの「つなぎ」として活用できる場合があります。

マチスコアで待機児童データを確認:マチスコアでは、こども家庭庁が公表する待機児童数データを基に、各自治体の子育てスコアを算出しています。ランキングページで自治体ごとの状況を比較できます。ただし、年齢別の空き状況や個別園の詳細は自治体への直接確認が必要です。

4 収入と支出のバランス

地方移住で「生活コストが下がる」というのは一面的な見方です。確かに住居費は都市部と比べて大幅に下がる傾向がありますが、一方で増える支出もあります。家計全体でのシミュレーションが欠かせません。

下がりやすい支出

  • 住居費 家賃・住宅ローンは地方ほど安くなる傾向。特に地方都市の郊外では、都心部の半額以下になることも珍しくありません。
  • 駐車場代 都市部では月額数万円かかる駐車場代が、地方では無料〜数千円程度。持ち家なら敷地内に駐車スペースがあることが多い。
  • 保育料 保育料は自治体の定める料金表と世帯年収で決まります。自治体によっては独自の軽減策を設けています。

上がりやすい支出

  • 車の維持費 車が必須の地域では、車両代、保険、ガソリン代、車検、タイヤ代などが発生します。2台必要な場合はさらに負担が増えます。
  • 光熱費 プロパンガスの地域は都市ガスより割高になりがち。また、寒冷地では暖房費が大きな支出になります。
  • 帰省費用 実家や友人との距離が離れる場合、年に数回の帰省にかかる交通費・宿泊費も計算に入れましょう。

収入面の考慮事項

フルリモートで現在の年収を維持できる場合は問題ありませんが、地方に転職する場合は年収が下がる可能性を考慮する必要があります。地方の求人は都市部と比べて給与水準が低い傾向がありますが、地域によっても差があります。

単純な年収比較ではなく、住居費・交通費・保育料などを差し引いた「手元に残るお金」で比較することが重要です。楽観的な見積もりは避け、保守的にシミュレーションすることが大切です。

移住支援金の確認

国の「地方創生移住支援事業」では、東京23区に在住または通勤している方が地方に移住する場合、条件を満たせば移住支援金を受け取れる場合があります。自治体独自の上乗せ支援を設けているところもあるので、候補自治体のWebサイトで最新の制度を確認してください。

マチスコアで確認できる経済データ:マチスコアの財政スコアや住環境スコアでは、自治体の財政力指数や地価水準を確認できます。比較機能で所得水準と地価を並べて確認できます。

5 パートナーとの合意形成

移住は家族全員の生活を変える決断です。一方が積極的で、もう一方が消極的な場合、合意形成なしに進めると後の不満やトラブルにつながります。

よくある意見の相違

  • 「自然豊かな環境で子育てしたい」vs「利便性を維持したい」

    子どもの成長環境を重視するか、日常生活の利便性を重視するかは、価値観の問題です。どちらが正しいということはなく、お互いの「譲れないポイント」を明確にすることが重要です。

  • 「キャリアの断絶が不安」vs「新しいチャレンジをしたい」

    特に片方が転職を伴う移住の場合、キャリアへの影響について不安を感じるのは自然なことです。移住後のキャリアプランを具体的に話し合いましょう。

  • 「実家の近くにいたい」vs「新しい土地で暮らしたい」

    祖父母のサポートは共働き世帯にとって大きな助けです。実家から離れることで失われるサポートを、移住先の別の仕組み(保育サービスなど)で補えるかも検討材料です。

合意形成のステップ

  1. 1 お互いの「移住したい理由」と「不安な点」を書き出す — 頭の中にあるものを文字にすると、対話のベースになります。
  2. 2 「譲れない条件」と「妥協できる条件」を整理する — 全ての希望を満たす移住先はありません。優先順位をつけましょう。
  3. 3 一緒に候補地を訪問する — 資料やネットの情報だけでは伝わらない雰囲気を共有することが大切です。マチスコアの6軸スコアを共有し、お互いの重視ポイントを数値化してみるのも一つの方法です。
  4. 4 撤退ラインを決めておく — 「合わなかったら戻る」という選択肢を残しておくことで、心理的なハードルが下がります。具体的に「何年間試して、どういう状況なら戻る」という条件を合意しておきましょう。

6 二段階移住という選択肢

いきなり完全移住するのではなく、段階を踏んで移住する方法があります。「二段階移住」や「お試し移住」と呼ばれる方法で、リスクを抑えながら移住の適性を確認できます。

ステップ1: 週末移住・お試し移住

まずは週末や連休を利用して候補地に滞在し、実際の生活感を確かめます。多くの自治体が「お試し移住住宅」を用意しており、数日〜数週間、格安で滞在できる制度があります。

滞在中に確認すべきことは多いです。平日の朝の道路状況、スーパーの品揃えと価格、医療機関の場所、保育園の見学、地域の雰囲気 — 観光では見えないリアルな日常を体験しましょう。

ステップ2: デュアルライフ(二拠点生活)

いきなり住民票を移すのではなく、都市部の住居を維持しながら移住先にも拠点を構える方法です。夫婦のどちらかが先に移住し、もう一方は当面は都市部に残るスタイルです。住居費は増えますが、片方が地域に根付くための準備期間として有効です。

コスト面では二重生活になるため負担が大きいですが、「失敗したときに戻る場所がある」という安心感は大きいです。期間を決めて(例えば半年間)試し、問題がなければ完全移住に切り替えるのが現実的です。

ステップ3: 完全移住

お試し期間を経て確信が持てたら、住民票を移して完全移住します。この段階では、保育園の申請、学校の転校手続き、運転免許の住所変更など、行政手続きをスケジュール通りに進めることが重要です。

また、「大都市 → 地方の中核市 → さらに郊外」のように、段階的に移住先の規模を変える方法もあります。いきなり人口数千人の町に移住するのではなく、まず人口規模の大きい都市に移り、生活リズムに慣れてから次のステップを検討するアプローチです。

二段階移住のメリット・デメリット

メリット

  • 実際の生活を体験してから判断できる
  • 子どもの反応を見られる
  • 地域の人とのつながりを事前に作れる
  • 「戻る」選択肢を確保できる

デメリット

  • 二重生活のコストがかかる
  • 移住の決断が先延ばしになりがち
  • 子どもの保育・通学が複雑になる
  • 精神的・体力的な負担が大きい

まとめ

共働き世帯の移住は、考慮すべき変数が多く、計画と段取りが成功の鍵です。この記事のポイントを振り返ります。

  1. 1. タイミングは子どもの年齢と仕事の状況から逆算する。育休中、進学時が比較的動きやすい。
  2. 2. 仕事はフルリモート継続が最もリスクが低い。転職や起業を伴う場合は収入の空白期間を最小化する計画を。
  3. 3. 保育園は入園申請スケジュールから逆算して移住時期を決める。認可以外の選択肢も調べておく。
  4. 4. 家計は楽観的にならず、増える支出(車、光熱費、帰省費)も含めてシミュレーションする。
  5. 5. パートナーとは「譲れない条件」と「撤退ライン」を事前に共有しておく。
  6. 6. 二段階移住でリスクを下げる。お試し移住やデュアルライフで実際の生活を体験してから判断する。

移住に「完璧な正解」はありませんが、「十分な準備」はできます。データで候補を絞り、現地で確認し、段階を踏んで進める — このプロセスを大切にしてください。

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